〇最新の「学術的メモ帳」記事の概要 (abstract, overview)〇
言語(ことば)における科学性について考えよう。
それも多岐にわたるが、まずは「科学」という語彙自体を考察すべきである。
「科学(サイエンス science)」と「化学(ケミストリー chemistry)」は「カガク kagaku」として現代日本語の発音で共通する。
「科学」と「化学」を同音で把握する日本人が日本人に対して、科学が化学であるようなバイアスをかけ、ステレオタイプとして科学者の外見が「白衣(オプションでメガネなど)」であるように定着させてきたろう。
これは言語音声に関する主観的認知とそのバイアスについて、認知言語学に関した一見解になる。
音韻論 (phonology) によれば、「科学」と「化学」とは、共に現代日本語の一般的な漢字発音で同音異義語 (homophones) となる。
これが歴史的にもそうであるか、他の言語でもそうであるか、検証してみたい。
以下に、両単語の字音仮名遣い(歴史的仮名遣い)と拼音(ピンイン Pinyin)とを示し、対応する音素 (phoneme) も表記する。
「科学 (科學) カガク・かがく」 /kagaku/
字音仮名遣いで「くわがく(くゎがく)」 /kwagaku/
拼音"kēxué (クーシェーまたはクーシュエー /kʰɤ ɕɥ̯œ/ トーンは第一声・第二声)"
「化学 (化學) カガク・かがく」 /kagaku/
字音仮名遣いで「くわがく(くゎがく)」 /kwagaku/
拼音で"huàxué (ファーシェーまたはフヮーシュエー /xu̯ä ɕɥ̯œ/ トーンは第四声・第二声)"
このように、両単語が、日本語では現代発音でも字音仮名遣いによる古典発音でも、同じ音素を有している=同音異義語である。
しかし、両単語が、中国語ではそうならずに区別可能である。
「科学」も「化学」も、明治時代から学術・日常の範囲で日本語に取り込まれた語彙であろう (cf. 宇田川榕菴の著作 c. 1837- による「化学 chemistry」に相当する西洋の語句の音写 オランダ語 chemie 現代発音: /xemi/ 舎密 唐音: せいみ 参考までに拼音: shèmì シェーミー第四声・第四声, 明治時代の官庁「舎密局」にあり)。
現代日本語では、両単語の同音である状態を鑑みて、「カガク・ばけガク(かがく・ばけがく)」と読むことが暫定的に求めらる。
もしくは、明治~戦前期に「化学」の音読みが、「化」の呉音で「け(as in 化粧 けしょう keshō, 化身 けしん keshin)」の「けがく kegaku(字音仮名遣い: くゑがく kwegaku)」と作られていたらば、現代語で同音異義語とならず、その紛らわしさも無かったろう。
なおかつ「化学 ケガク (クヱガク)」であれば、「化 ケ ke」が英語名称ケミストリーの当て字 (ateji, phono-semantic matching) ともなりえて…(後略)
なおかつ「化学 ケガク (クヱガク)」であれば、「化 ケ ke」が英語名称ケミストリーの当て字 (ateji, phono-semantic matching) ともなりえて…(後略)
〇概要は以上〇
『過去に「一語一慧 (いちごいちえ)」という企画を考案していた』の続きを読む